大山(1999/01/31)子連れ


きっかけはこのようにして

 1998年暮れの事だ。最近どこに行くにも子供連れだと何かとお金がかかる。また慢性の運動不足で最近少しズボンがきつくなってきたことや一日中机に向う仕事で腰が痛くなってきた事もあり、何か安くて親子で楽しめる遊びはないかと思い近所の本屋に寄ってみる。公園の特集などが載っている雑誌をパラパラとめくって見るが公園でキャチボールとかだけなら大して運動にならないし、ボール遊びが苦手の一姫は楽しめない。何か他にいい遊びはないかと他の本を探していると「親子の初めて山散歩」という本が目にとまる。
 スポーツが苦手な私で登山には全く興味がなかったが散歩程度の軽いハイキングなら良さそうだと思い手に取って見る。読んでみると首都圏からの日帰りハイキング中心で低学年の子供連れでも安全な所だけのようだ。早速買い求め自宅に戻る。じっくり読んでみると車で行けるところも結構載っていてドライブがてら出かけるのも良さそうだ。また、帰りに温泉に寄ればなお楽しそうだ。今まで山というと遠くの高い山しかイメージしていなかったが、近くにも知らない山がいろいろ有りそうだ。年が明けたら早速近くの山に散歩に行こうかと思う。

それでは、初めての山散歩へ

 年が明け天気の好い日に神さんと小1の一姫、年中の一太郎を乗せて車で出かける。行き先は一番近そうな大山だ。寒いので皆厚着だ。私はジーンズにトレーナー、皮ジャン、スニーカーといった出で立ちだ。家族もトレーナーにジャケット、スニーカーと似たような格好だ。荷物はビニールシートと弁当を小さなバックに詰めただけだ。カーナビをセットして大山に向かう。246から大山に向かう道になると俄かに細くなってくる。もともとドライブは好きなのでワインディングロードは楽しい。しばらく進むと駐車場が有る。結構広い駐車場が2つもあるようで人気が伺える。

早くも息が上がる

 駐車して早速ケーブルカー乗り場を目指す。歩き出すとすぐに豆腐屋が有る。大山は水が良いのか豆腐が名物のようだ。しばらく歩くと旅館が結構あるのに驚く。首都圏から近いのに泊まる人はそんなにいるのだろうか。急な坂道ですぐに息が上がって来る。そのうち階段に差し掛かる。階段の両側には土産物屋が一杯だ。色んな土産があるが大山独楽というのが有る。これも名物のようだ。すっかり観光気分だ。急な階段を息を切らせて登りきるとやっとケーブルカー乗り場だ。
 切符を買って出発まで待つ。その間に次から次へとやってきてすぐに待合室は一杯になる。人々の格好は我々と似たようの人もいれば山登り用のザックに靴、ストックまで持っている人もいる。子供連れで登れるような所ではないのかと少し不安になる。やがてケーブルカーが到着し乗りこむ。ケーブルカーなんて乗るのは何年ぶりだろう。急な勾配をぐんぐん登って行く。下を見ると所々雪が残っている。スニーカーで大丈夫なんだろうか?

いよいよ山登り

 やがて6分程で下社に着く。結構大きな神社だ。こんな山の中腹に良く建てた物だと感心する。さていよいよ山登りだ。神社の横手から階段が始まる。見上げると結構有りそうだが普段通勤で1時間ほど歩いているから大丈夫だろう。颯爽と登り始める。しかしなんとした事か半分も登らないうちに息が切れて来る。手摺に捕まり少し休憩する。息を整え登り始める。やっとの思いで階段を登りきる。私は息がぜえぜえ、脹脛は痛くなるのに神さんと子供達はいたって元気だ。おかしい。こんなはずでは無かった。普段家にいる神さんが一番体力が無いと思っていたのに。平地を歩く筋肉と坂を登る筋肉は全然違うようだ。
 気を取り直し登山道を歩き出す。ここからは土の道になってくる。山道を歩くのは小学生の頃田舎の弥彦山に登って以来かも知れない。アスファルトに慣れた足には新鮮で気持良い。ふうふう息を切らせながら登って行くと3丁目と書いた石が有る。そういえばガイドブックに頂上まで2?丁目までかの丁目石があると書いてあたような気がする。しかしそれにしても体力が落ちたものだ。すでに汗だくで皮ジャンを脱いで腰に巻く。持って来たお茶のペットボトルをぐいぐい飲む。少し休んで先に進む。

頂上はまだか

 殆ど1丁目毎に休むような調子で歩く。腰に巻いた皮ジャンがすぐに滑って落ちて来る。やはり皮ジャンは腰に巻く物ではないらしい。すでにトレーナーまで腕まくりをしている状態だが、それでも暑い。1月なのに山登りをするとこんなに暑くなるとは思わなかった。次々と後から来る人に抜かれて行く。随分年配の人にも抜かれて行くと自分の体力の無さが不甲斐無い。やっとの思いで15丁目当たりの休憩所に着く。ここでやっと半分くらいか。頂上はまだまだ遠い。ベンチに腰掛けジュースを買いのどを潤す。既に持って来たペットボトルは空っぽだ。
 ゆっくり休んでから頂上を目指す。しかしこんなに辛くて頂上まで辿り着けるのだろうか?相変わらず一丁目ごとに休み休み進んで行く。ときどき振り返ると展望が段々良くなって来る。景色を眺めていると風が気持良く疲れが吹き飛ぶ感じがする。少し山登りの楽しさが分かったような気がする。息を整え先に進む。途中に奇岩があり岩の説明がいろいろ書いてあるがどうもなるほどと思うような物は無い。それでも記念に写真に撮ったりしながら先に進む。

やっと頂上へ

 やがて大きな石が増えて来る。子供達は腹ばいになってよじ登るような格好で頑張っている。普段外で遊ぶといっても公園に行くくらいだから刺激があって楽しいようだ。更に一頑張りで上の方から人声が聞こえて来る。もう少しで頂上か?疲れ切った足に気合を入れ急な階段を登る。すぐに鳥居が見えて来る。
 やった!やっと頂上だ!大きく息を吸い込み深呼吸をする。頂上からの景色は素晴らしい。相模平野が一望だ。遠くには相模湾まで見える。火照った体に頂上を吹きぬける風が心地良い。最高の気分だ。
 それにしても辛かった。1時間半程で簡単に登れるとガイドブックに書いてあったが2時間以上掛かってしまった。楽勝だと思っていたのに大違いだ。山登りはこんなにも辛い物なのか?しかし、他の人達は随分軽がると登っていたし何よりも年配の人にどんどん追い越されたのには驚かせられた。スポーツとはずっと無縁でいた間に知らず知らずの内に体力がどんどん落ちていたのだ。毎日通勤で平地を1時間位歩くだけでは駄目なのだ。もっと体を動かさないといけない事を痛感する。

ご飯を食べて下りへ

 少し休憩した後持って来た弁当を皆で食べる。じっとしているとすぐに寒くなって来る。やはり1月なのだ。おにぎりが冷たく暖かい物が何もないのは寂しい。他の人達はどうしているのか思って見渡すと小さなガスコンロだろうか便利な物を持っていてラーメンなど暖かい物を食べている。羨ましい。ああいうのはどこに売っているんだろう?今度探してみよう。すっかり寒くなったので食べ終わると早々に下ることにする。
 下りはガイドブックに載っている見晴台から下社に降りる道を採る。道は日当たりが悪く所々霜か雪でぬかるんでいる。すぐに靴が泥んこになってしまう。こんな所で滑ったら皮ジャンが台無しだ。簡単に登れる山だと書いてあったがそれなりの格好が必要なようだ。まずは靴を買ってみようかと思う。次から次へと追い付く人達に道を譲りながら初心者ファミリーは慎重に降りて行く。下りは楽勝かと思っていたが普段使わない筋肉を使うようですぐに汗を掻いてくる。階段の長い下りで段々と膝が痛くなってガクガクして来る。ペースを更に落としてゆっくりと下る。

危険な所もありそう

 それにしても登りも下りも子供達は元気だ。途中何度も休憩しながらやっとの思いで見晴台に到着する。相模平野の展望が素晴らしい。ここでもコンロで暖かいコーヒーなどを飲んでいる人がいて羨ましくなる。あまりのんびり休むと体が冷えるので出発する。ここから下社までの道は随分とゆるやかで快適だ。体力のなさを痛感した私には丁度良い。
 暫く進むと左側が崩れている個所に出る。大して危険ではなさそうだがそれでも子供が落ちたら助ける事ができるだろうか?この山は大勢の登山者がいるから良いがもっと静かな山に行くような場合は要注意だ。緊急用のロープなどいるのだろうか?そこを無事通過するとすぐに下社が見えて来る。やっと着いた。ホッとする。土産物屋を眺めてからロープウェーの駅に向かう。

楽しかった初めての山散歩

 ロープウェーを降りてから近くの店で名物の豆腐料理を食べてみる。ちょっと高いが中々美味い。ビールを飲みたいが車なので我慢する。神さんと初めての山登りの感想を話す。山登りは初めてだったが体力がないと初心者向きの山でも結構辛い。それでも汗を掻いた後の気持良い風や展望を楽しむ事ができ山登りの楽しさを感じる事ができた。体力がないのでしばらくはもう少し低い山にも何度か行ってみようと思う。
 山登りの道具もいろいろ揃えたい。取り合えず靴、ジャケット、ザック、ロープ、コンロ、帽子、手袋などか。スポーツとは無縁だったが何となく今回の山でハイキングが好きになったようだ。また近いうちに家族で山に行こうと思う。

データ

山:伊勢原市 大山(1252m)
天気:晴れ
参加者:神さん、一姫、一太郎
コース&時間:下社(2時間以上)頂上→(1:30)見晴台経由下社
参考ガイドブック:親子の初めて山散歩




トップページへ
トップ
次の山行へ
次へ
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送