雁ガ腹・日向山(2001/9/23)グループ


プロローグ

 道が平坦になり白い砂が混じるようになってくる。頂上は近いのか? はやる気持ちで林を抜けると突然視界が開ける! しかしガスっていて何も見えない。広い空間だけを感じるが近くの山さえ良く見えないほどだ。折角ここまで登って来たのに残念だ。一同ため息をつく。次は秋晴れの日に是非また来ようと皆で約束する。2001/4/29(日)日和見山の会8人、真っ白な雁ガ腹山行だった。

オープニング

 2001/9/22(土)11:00に八王子駅で待ち合わせをする。今日は日和見山の会のキャンプ&ハイキングだ。私に取ってキャンプは小学校以来でワクワクする。少し前に買ったシュラフ(初めて買った)を持って家を9:00頃出てきたら早く着き過ぎたようで、待ち合わせ場所の東急スクエア前で文庫本を取り出して読む。今日はわずかな雲しかなくほぼ快晴だ。読書日和でもある。今回の山行は山梨の白州にある雁ガ腹だ。ここは日和見山の会のメンバーで今年のGWに一度行ったが生憎曇りで頂上からは何も見なかった為、また秋に皆で来ようと約束した場所だ。
 少し待っているとヨコタ氏が車でやって来た。他のメンバー5人は千葉方面から日和見山の会リーダのkenさん号で中央高速に向っているはずだ。もう一人現地で合流し8人での山行予定だ。

いざ、キャンプ場へ

 八王子インターより中央高速に乗るが3連休で渋滞している。千葉組との合流ポイントの釈迦堂SAに向う。渋滞を抜け、待ち合わせの12:00を遥かに過ぎ13:00頃到着するが、車中で会話した千葉組の車も大渋滞にはまっているとのことで私とヨコタ氏は先に昼食とする。ここから見る南アルプスの展望は素晴らしい。
 14:00頃やっと千葉組のkenさん号が到着する。メンバーはkenさん、たーさん、まーさん、パラ氏、日和見山の会初参化のメーさんだ。5人乗りの大渋滞はさすがに堪えたようで皆ぐったり。
 昼食&休憩でリフレッシュした所でサァ、出発だ。ここから渋滞もなく快適だ。ふと後ろを振り返ると雪化粧した富士山が見える。綺麗だ!。
 順調に須玉ICで降り尾白川キャンプ場へ向う。迷う事も無く到着しテントの準備をする。去年自治会の夏祭りでテントを建てた事が有ったが、山用のテントを建てるのは初めてだ。持ち主のkenさん、ヨコタ氏もしょっちゅう使っている訳でもなく解説書を見ながら何とか皆で組み建てる。キャンプに来た事を実感する瞬間だ。

楽しい晩餐

 夕食の買出しと長坂駅へアーさんを迎えに行くメンバーに分かれ出発する。買出しに寄ったスーパーの駐車場から見る山並み、展望が素晴らしい。キャンプ場に戻るとアーさんを迎えに行ったメンバーがまだ戻らずアーさんから到着が遅れる連絡があったようだ。
 夕飯はおでんを中心とした水炊き?になる予定。野菜を切りながら土に落ちた葉切れを鍋に入れると見ていたメーさんが笑っている。水洗いするから良しとする。下準備ができテントの廻りを片付けていると缶ビールが倒れて小石に当たったのかビールがプシューと噴出す。まーさんがテープを貼ったが止まらず仕方なく(というより喜んで?)まーさんが飲み干す。(メーさんも飲んでいたような?)ヨコタ号を待つ間にメーさんにハイキングにはどのくらい行っているのか聞いてみたが年に2,3回だけとの事。
 キャンプ場には大勢のキャンパーが来ていて子供たちの姿も多い。私の子供も連れてくると喜ぶだろうか。
 おでんを煮込み始めた頃、アーさんを迎えに行ったヨコタ氏とパラ氏が戻って来る。これで全員集合だ。日和見山の会初参化のアーさんと挨拶をする。この会では珍しく学生だそうだ。キャンプ場の毛布貸し出し時限が迫っていたので早速シュラフを持っているか尋ねると持ってないそうだ。ヨコタ氏がシュラフを2つ持っていて貸すそうだ。さすが準備に余念が無い。
 全員集まった所でビールを飲みながら楽しい夕食となる。今回は酒豪が一人だけの為、ビールを少なめに買ってきたがあっという間に無くなる。普段は余り飲まないパラ氏が「えっ、もうないの?今日はすぐ眠れる場所なんでもっと飲みたいのに!」」と足りなそうである。たーさんがテントに戻って何やらゴソゴソして来ると手にダルマを持っている。さすが酒豪のたーさんだ。いつもの山行ではワインや日本酒を持ってきて皆に振舞っているので今回もきっと何か持ってきてくれているだろうとは思っていたがウィスキー1本持ってくるとは。まるで飲み物が不足するのを予測していたかのようだ。さすが!

満天の星明りの下、妖しく漂うたーさん

 ダルマをヨコタ氏とパラ氏が長坂駅でアーさんを待つ間に汲んで来た名水で水割りにする。実に旨い。アルコールも廻り一層賑やかになる。ふと隣を見るとたーさんがストレートで飲んでいる。さすが酒豪だ。初参加のアーさんは私と同郷だと知りビックリ。初対面でも同郷だと知ると何だか親近感が持てる。そうこうするうち食べ物、飲み物がなくなり(ダルマがいつの間にやら空になっているのにビックリ。さすがたーさん)テントに移動する。今日は9月とは思えないほど寒くテントに入ると暖かい。
 中でまた談笑した後、星を見に行く事にする。テントの廻りはキャンプ場の明かりが有るのでキャンプ場の外まで歩いていく。明かりの届かない所で見る満天の星空は凄絶だ。明日の天気に期待が膨らむ。空を見ながらヨコタ氏が星座の説明をしてくれる。いろいろ物知りの人だ。アーさんが持ってきたカメラで星空の撮影をする。kenさんがシャッタースピードの調整やらいろいろ試しながらの撮影だ。ちゃんと撮れたのだろうか。ところでたーさんの様子がどうもおかしい。まるで水の中の海草のようにフラフラしているのだ。酒豪で鳴らしているたーさんだが、さすがにダルマをストレートで7,8割程空けたのが効いているようだ。声をかけるとそれらしい返事もあるのだが大丈夫だろうか。それにしても今日は寒い。満天の星空を思う存分堪能しテントに戻り寝ることにする。ここでもたーさんが怪しい行動をする。テントのファスナーを空けようとするのだが手が泳いでファスナーが掴めない様だ。空けるのを手伝ってあげる。就寝は22時頃だったろうか。アルコールのお陰でシュラフに入ると暖かくすぐ眠れた。

秋の夜長を鳴き通す

 夜中にふと目が覚める。トイレに行きたくなり外に出る。もう5時頃かと思ったがまだ2時過ぎだ。シンと静まり返ったキャンプ場の中で一人星空を眺める。先ほどにも増して満天の星座が綺麗だ。しばらく眺めてテントに戻る。シュラフに入って寝ようとするが今度は中々眠れない。鼾がステレオで大合唱だ。これが虫の声なら最高なのだが。シュラフに頭まで潜っているうちにやっと眠りにつく。

朝帰りのアーさん

 7時前に目が覚めてテントの外に出ると丁度向かいのテントから出てきたアーさんと顔を合わせる。挨拶をし良く眠れたか聞くと寒くてなかなか眠れなかったとの事。普通この時期であればシュラフで十分なのだろうが寒波のせいで冷え込んだからだろうか。我々は男5人テントだったが、もう一つのテントは女性2人だけで冷えたのかもしれない。外ではkenさんとまーさんが早速朝食の準備をしている。まーさんお勧めのチキンラーメンだ。1分で湯で揚がるため火力の乏しい状況では重宝する。皆が揃った所で湯でて食べ始める。寒い朝に熱いラーメンは格別だ。早々に食べ終わるとテントの片付けに取りかかる。今日はいよいよ雁ガ腹に登るのだ。残念ながら急遽戻る事になったアーさんに「またね」と挨拶をし、ヨコタ氏が車で送って行く。せっかくここまで来たのにハイキングに行けなくて可哀想だ。テントを片付け終わりヨコタ氏を待つ間にふとメーさんの荷物を見るとシュラフが無い。聞いてみるとザックの中に収めているとの事。昨日、年に2,3回しかハイキングには行かないと言っていたが、スッキリ荷造りしている所は慣れているようだ。私の場合、ザックに収まらずシュラフはスーパーの袋に入れている有様だ。しばらくするとヨコタ氏が戻って来る。さあ、出発だ。

リベンジなるか?雁ガ腹!

 登山口の矢立岩まで迷うことなく到着する。9時前でガラガラかと思いきやビッシリ駐車している。登山口の上の方まで行き空いたスペースに止める。 9時に登り始める。いつものように息が乱れないkenさんのペースだ。
私とメーさんだけ妙に軽装だ。私は今朝から頭痛が酷くとても重い荷物を持てそうに無く飲み物だけ入れた小物入れだけだ。ヨコタ氏は最近キノコの勉強をしているようで、食べれるイグチというキノコ探しをしながら進む。これは怪しいとかこれは大丈夫だとか解説をしながら、見るからに毒だと分かる派手な色のキノコをkenさんに勧めたりしている。いつもの楽しい二人の会話だ。登山道にも良く見ると結構キノコが有るものだ。途中で林の間から富士山が見える。雪を被っていて綺麗だ。それにしてもハイキングは余り行かないと言ってたメーさんは全然息も上がらず結構体力が有りそうだ。何かスポーツをしているのだろうか。
 そうこうするうち登山道に花崗岩砂が含まれ白くなってくる。頂上が近い。今日は雲一つないので展望に期待が膨らむ。いよいよ最後の林を抜けると頂上だ。素晴らしい展望に皆、声を挙げる。雲一つない秋の青空に右手には八ヶ岳、左手に甲斐駒ケ岳、鳳凰三山などが見える。雄大な景色だ。間近の花崗岩が崩れた奇岩の数々も素晴らしい。こんな素晴らしく壮大な景色は生まれて初めてだ。ひとしきり感動した後、記念撮影だ。誰の顔もニコニコだ。後から後から来るハイカーも頂上に着くと一様に声を挙げている。素晴らしい景色が与えてくれる感動は誰にも平等だ。途中、抜いてきた子供たちのグループもやってきて感動の声を挙げている。私の子供ももう少し大きくなったら是非連れて来たあげたい。
 皆集まり昼食とする。kenさんが皆のパンを一人で担いできたのだ。ご苦労様です。頭が下がる。パンを一人3種類ずつ食べるとヨコタ氏が味噌汁を全員に振舞ってくれる。有りがたい。美味しい味噌汁を飲むとホットする。まだ、早いので昼寝をしたり各自銘々に休憩する。のんびりした後出発の準備だ。

kenさんの「僕の進む道が無い!」

 下りは登りとは別方向の錦滝へ向う。頂上から砂浜のような花崗岩砂の急斜面を歩き出す。結構急だがざくざくしていて膝に優しい。少し降りると頂上からは方角的に見えなかった富士山が見える所にでる。ここから見る富士山も素晴らしい。想い想いに写真を撮りさらに下り始めるとすぐに沢筋が右手に現れる。とても綺麗で冷たい水だ。ここからの下りは木の根が張り出した結構急な道となる。私にはチョット怖いくらいだ。少し行くと鉄製の階段があるが、さすがkenさん平地のようなスピードでトントンと降りて行く。ステッキを持っている人や私は恐々ゆっくりと降りる。無事通過し暫く進むと下の方から滝の音が聞こえてくる。錦滝が近いようだ。そのうち先頭に立っていたkenさんが「あっ、道が無い!」と叫ぶ。何と登山道が崩落しているのだ。どうしたものか迷っていると一番後ろにいたヨコタ氏が右脇に抜ける道を見つける。そちらへ進むとすぐに本来の登山道に戻る。無事全員登山道に戻り急な道を下っていくとやっと錦滝に到着する。頂上からの下りは私に取って結構辛かった。パラ氏も同感のようだ。

エンディング

 滝を眺めながらしばし休憩する間にkenさんが先程の崩壊場所まで戻って迂回路に赤テープを巻いて来た。kenさんも疲れている筈なのにさすがベテランらしい気の配り様だ。滝から川の左岸を矢立岩まで戻ることにする。この道は林道だがいきなり大木が倒れていたりする。すぐに豪快に水が涌き出ている所が有る。飲んでみるとなかなか旨い。空いたペットボトルに充たして行く。矢立岩までの林道はところどころ大きな石が落ちていたり水が沸いていたりでこの花崗岩の山は毎日少しずつ崩壊している事を感じさせられる。右側が少し開けて富士山が見える。この山行で最後のビューポイントだ。楽しい2日間の旅もいよいよ終わりだ。じっくりと富士山を眺めた後、矢立岩に向って歩き出す。
 矢立岩の駐車場から温泉に向う。kenさん推薦の武川村にあるむかわの湯に寄る。キャンプで2日ぶりの風呂は気持ち良い。風呂上りは勿論ビールだ。今日はドライバーでないので心置きなく飲める。山行後のビールは格別だ。

エピローグ

 無事、自宅に帰り道具を片付けながら次はどこに行こうかと考える。深田久弥氏終焉の茅ガ岳にも是非行きたい。丹沢の山々もいろいろ行きたい。東京都最高峰の雲取山も行きたい。来年は富士山にも初挑戦してみたい。など想いを巡らす。楽しい一時だ。

データ

コース&時間:矢立岩登山口→(2:00)頂上→(1:15)錦滝→(50)登山口
温泉:武川村むかわの湯




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