鍋割山(2002/02/11)単独


出発前日

 2月10日。この3連休は今日だけ用事が有ったため、9日と11日にそれぞれどこかに行こうと思っていたが、8日の帰宅が深夜になり9日は寝坊して遭えなくダウン。1月20日以来山に行ってないので明日は絶対山に行こう。天気も先週の予報よりずっと良くなり晴れそうだ。どこに行こうかと考え、最近買った「山小屋利用でのんびり山歩き」を広げてみる。今まで日帰りのみだったがその内山小屋利用でのんびりあちこちの山へ行こうと思い買ったものだ。
 今回は休みの最終日だからもちろん日帰りだが、小屋の下見がてらどこにしようかと考える。山は多少の雪がある次期だし全く初めての山域でなく今まで行ったことのある山域の登った事のない山にしよう。寒いから熱いものが食べられる所にしようと思うとすぐに鍋焼きうどんで有名な鍋割山を思い出す。よし、名物の鍋焼きうどんを食べに行こう。鍋割山は初めてだが塔の岳には表尾根からと大倉尾根からそれぞれ1回登っているから多分大丈夫だろう。

長い林道歩き

 11日朝6時に目を覚まし支度をする。もちろん軽アイゼン、ストック、スパッツは必須アイテムだ。晴れの予報だが念のため折り畳み傘も持っていく。鍋焼きうどんが品切れという事はあるのだろうか? 念のためカップラーメンやミニステーキもザックに入れる。もちろん缶ビールも忘れない。着替えや非常食、水1L、ガスも2個入れると結構重い。この次期で初めてのルートだから用心に越した事はない。重いザックを抱え車に乗り込み出発する。
 二俣まで車で行けるようだがこの時間に行って空いているか分からないし雪があるかもしれないので林道歩きを覚悟して戸川公園を目指す。8時15分に到着し駐車場に入れようとするが8時30からの営業だ。少し待ってから駐車し靴を履き替えスパッツを履く。いつものように万歩計をリセットし先日買った皮の手袋をして歩き出す。ガイドブックによると二俣まで1:20かかるようだ。駐車場から西への道を入り西山林道に向う。道には雪が無いが両側の木々の葉に雪が乗っていて綺麗だ。少しの風で葉に乗っている雪が細く舞う。
 20分程で西山林道に出る。体が暖まってきて手袋をしまい変わりに汗拭きのタオルを出す。ここから四十八瀬川に沿って表丹沢県民の森を目指す。ハイカーは何組かいて抜かれたり、抜いたりして進む。一組のペアに抜かれたが私よりちょっとペースが早いだけなので少し距離を置いてペースメーカーとして歩く。緩い登りの林道だが荷物が重くだんだん苦しくなる。脇腹が痛くなり、右足の付け根が少し痛むが初めての道で一人なのも不安なので余り距離が空かないよう付いていく。時々車に抜かれながら途中県民の森を左に見送り沢沿いの道を進むが、苦しくなり途中で休憩する。赤と黄の目立つジャケットを着た中年女性二人(仮称:赤黄ペア)が休憩していてどこまで行くのか会話する。赤黄ペアも鍋割山に行くようだ。私は少し休憩し二人を後に出発する。そこからは程なく二股に到着する。それにしても覚悟はしていたものの長い林道歩きだった。

やっと登り

 勘七ノ沢の川原が広場になっており、車はここまで来れるようだ。まだ駐車スペースもあり、次来る時は車で来よう。少し休んで地図を見ている間に先ほど林道で抜いた赤黄ペアに抜かれる。私も水かさの少ない川を石を伝って渡る。渡った後も林道が続くがすぐに小丸に登る道と後沢乗越へ向かう分岐に出るが私の前を歩いていた赤黄ペアは直接小丸に登るようだ。私は左に後沢乗越を目指す。すぐにミズヒ沢を渡りここからいよいよ登山道になる。登り始めるとすぐもう降りてくる人達がいる。きっと山小屋に泊まったのだろう。軽アイゼンを付けている人もいる。この辺の道はまだ必要なさそうだが上のほうでは付けたほうが良いのかもしれない。

展望なし

 杉林の中をジグザグに登っていく。林道を歩くよりやはり気持ちいい。少し苦しくなった頃、展望が開ける。後沢乗越に着いたようだ。ここでは中年の男性(仮称:中さん)と初老の男性が休憩している。私も荷物を下ろしジュースを飲む。甘さが乾いた喉と疲れた体に心地いい。中さんが話し掛けてきて、ここからは富士山が良く見えるんだけど今日はダメだねと言う。車で戸川公園に向かう途中で真っ白な富士山が見えていたのに今は富士山の方は雲が垂れ込めている。上空を見ると朝より多少雲が増えている。これは頂上からの展望も期待できないかもしれない。中さんの話ではこのコースでは鍋割山の頂上手前が一番富士山の展望が良いらしい。
 中さんはお先にと言って先に行く。私はもう少し休んでから一ノ萱を目指す。だんだんと登りがきつくなってくるが先の方にまだ中さんの背中が見えマラソンの心境だろうか背中が見える内は何とか付いて行ける。しかし次第に右足の付け根が痛くなってきて足を上げるのが辛くなってきて少し休憩する。一休みしてから先に進む。途中木の幹に標高が赤いマジックで書いてあるのに気付く。高度計を持っていない私には良い目安だ。それを励みに登って行く。暫く進むと少し開けて勾配も緩やかな場所に出る。ここが一ノ萱だろうか。丁度中さんも休憩していてそこで私も休憩する。後沢乗越で中さんが言っていた展望の良い所はここらしい。また中さんと色々話をする。良く山小屋も利用して丹沢、奥秩父の山に行っているようで泊まりはゆったり縦走ができるし星空の観察や初日の出など楽しい話を聞かせてくれる。そんな話を聞いていると私も連休を使って山小屋利用の山歩きがしてみたくなる。
 今日は小丸から降りるか来た道をピストンするか迷っていたので中さんに聞いてみると小丸からの道は踏み跡もしっかりしているし危険な所もないとの事だ。中さんは時間次第で塔ノ岳まで行くか決めるらしい。また、お先にと行って先を急ぐ中さんと別れ足の痛みを取る為少し休む。しかし余りじっとしていると寒くなって来るので出発する。やがて徐々に前方の視界が開けてきて鍋割山の頂上に飛び出す。

鍋焼きうどん

 期待していた展望は東の方が明るく相模湾が見えるだけで西の富士山の方は暗く雲が絶ち込め展望なしだ。残念。まぁ、それは良しとしてもう一つの楽しみの鍋焼きうどんを食べることにしよう。写真で見ただけの鍋割山荘に初めて入る。入るとすぐ土間になっていて右手にコタツがいくつか置いてあり大勢の人でごった返している。みんなで鍋焼きうどんを食べている光景は、小屋というよりまるで食堂のようだ。早速注文をしようと思うが眼鏡が雲って全く見えない。眼鏡を外し暗い足元に注意しながら奥に進み主人(この人が草野さんだろうか?)に注文すると伝票に名前と数を書くよう促され1個と書いて待つことにする。
 待っている間にやっと曇りの取れた眼鏡で小屋を眺めると右手奥の上がベッドになっている。カウンター前には大きな酒樽が置いてあり、一杯500円で販売している。こんなでかい樽を担いできたのかと思うと人間離れした体力に感嘆する。常連サンが多いようで凍ったペットボトルの水を溶かすのを手伝ったり樽酒を飲んで楽しそうに談笑している。やがて名前が呼ばれ私のうどんが出来たようだ。カウンターに進み900円と引き換えに汁が蓋の間からブクブクと沸騰している鍋焼きうどんをお盆ごと受け取る。熱いものはやはり寒い外で景色を見ながら食べたいので外に向う。
 近くのテーブルに空きがありお盆を置く。同じテーブルには小学校3,4年の少年と父親のペア(以降:親子ペア)がやはり鍋焼きうどんを食べている。この雪混じりの道を登ってきたのだからかなり山歩きには慣れているようだ。早速、具がたっぷり入って旨そうな熱々の鍋焼きうどんを食べ始める。旨い。具の一つ一つに味が染みていてこれぞ鍋焼きうどんだ。旨い旨いと思いながら一気に残さず全部平らげる。食べ終わってから殆ど景色など見ないで食べた事と、食べる前に写真に撮るのを忘れた事に気が付く。まぁしょうがない。またの機会にしよう。
 他のテーブルでご飯を食べ終わった中さんがお先にと言って塔ノ岳方面に向う。まだ時間もあるし塔ノ岳まで行くのかも知れない。私は持ってきた缶ビールとミニステーキを食べようか迷うが、鍋焼きうどんのボリュームがあって今は食べられそうに無い。荷物が減らないがこのまま持ちかえる事にしよう。

雪の中

 まだ時間は早いがどうも西の方から暗くなってきて小雪もちらつくようになってきたので下ることにする。同じ道だとつまらないしあの長い林道歩きは避けたいので小丸から大倉に下るルートにする。中さんの話では歩きやすい道だと言っていたから大丈夫だろう。丁度親子ペアも帰るようで後沢乗越方面に向う。私はしまっていた手袋を付けるがすっかり冷えていて冷たい。皮でなくフリースなどの方が良さそうだ。歩いているうちに暖かくなるだろうと思いそのまま山荘の横を抜け北に向う。登りのルートは南向きで日当たりが有り余り雪は無かったが、ここからは結構雪が有る。それでも踏み固められていて潜るような事は無い。
 少し進むと二俣の先からすぐ小丸に向った赤黄ペアが向こうからやって来る。相手も気が付いたようでまた挨拶をして擦れ違う。この辺は雪が多く写真に撮ろうとするが手がかじかんで思うように動かない。なんとか写真に撮り、帰ったら子供達に今日はこんな所に行ったんだよと見せよう。平坦な尾根を歩いているとだんだん雪が強くなって来る。もうじき下りだから念のため軽アイゼンを付ける。

気遣いに感謝

 少し登ると小丸の標識があり、そこから更に少し進むと二股の分岐に出て南に向う。相模湾を見ながらの下りで気持良い。すぐにジグザグの下りが始まる。雪が多少あるが軽アイゼンで何の心配もない。5分ほど下ると下の方から声が掛かる。なんと中さんだ。この道は危険な所もないと私に教えたが雪になってきたので心配になり待っていてくれたのだ。有りがたい。ジグザグの道を2人で下って行く。中さんは下りも早く苦手の私はダブルストックを突きながら付いて行くのがやっとだ。静かな山道を時々話ながら降りて行く。途中の広い尾根では雪で白くなり始めた道がどっちに向うのか分かりにくい所があり、これで一人だったら不安な下りとなっていたに違いない。中さんの気遣いに感謝。
 更に進むと上から凄い勢いで降りて来る人がいて道を譲る。夫婦だろうか男女のペアだ。ずんずんと何のためらいも無く平地を歩くようなスピードで降りて行く。凄い人達だと感心する。中さんのペースもちょっと早いなと思っていたがあのペースには絶対付いて行けそうに無い。みるみる離されるが我々はマイペースで下っていく。だんだん道が泥んこ状態になってきて軽アイゼンにダンゴが付いて歩きにくくなって来る。そのまま暫く下るとやがて杉林になり次第に沢音が大きくなって来る。二俣が近いようだ。更に雪が強くなって来た中を進み二俣に到着する。

また林道か?

 ホット一息入れる。帽子やシャツに着いた雪を払っていると頂上で見かけた親子ペアが後沢乗越の方からやって来る。無事降りられて何よりだ。後は林道歩きだから軽アイゼンを外し勘七ノ沢で洗う。傘を出しジャケットをザックから取りだしシャツの上に着込む。沢を渡り中さんと林道を歩き始める。この辺の地理には詳しいようで私が戸川公園に車を止めてきたことを話すと駅からこの林道に車で入るルートを教えてくれる。次の機会には是非車で来よう。色んな山小屋の話などを聞いていると後ろから車がやってきて道を譲る。すると車が停止し中からバス停まで乗って行かないかと誘われる。有りがたい。これで長い林道歩きは無しだ。

優しい人々

 後部座席に乗り込みお礼を言って前の二人を良く見ると先程の下りで凄いスピードで抜いて行った夫婦だと気付く。降りるの早いですねと声を掛けると毎年富士山に行っているから長い下りには慣れているとの事だ。下るに従い雪が小降りになってくる。程なく大倉バス停に到着する。お礼を言って別れ、中さんとトイレ脇にある水道で靴の汚れを落とす。中さんともここでお別れだ。礼を言いまたどこかの山でと言って別れる。中さんはバスに乗りこみ、私は時間が早いし雪も殆ど止んで来たので戸川公園に寄ってのんびり散策する。今日は美味しいうどんと優しい人達に出会えて最高に楽しい山行となった。

山行データ
山行日: 2002/02/11 晴れのち雪
山: 秦野市 鍋割山(1273m)
コース&時間: 大倉(1:00)二股(50)後沢乗超(1:05)頂上(30)小丸先分岐(1:20)二股
歩行数: 登り13,400歩、下り11,000歩 計24,400歩
同行者: なし→途中から中さん
参考ガイドブック: 山小屋利用でのんびり山歩き
写真: 鍋割山の写真


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