塔ノ岳(2003/10/19)単独


幸先悪い

 天気が良く遠出したいが、生憎今日は夕方用事があるから近場の山しか行けない。どこにしよう?近くで歩き応えのあるところといえばやはり表丹沢しかないし塔ノ岳にしよう。早起きのつもりだったが最近忙しくて起きれず、ヤビツ峠に着いたときにはすでに8:30だ。秋のこの時期だともう峠の駐車場は一杯で止められず、少し富士見山荘よりへ進み空き地に駐車する。靴を履き替え脱いだ靴を袋に入れようとして持ち上げたら小さなミミズのようなものが靴のそこに半分潜り込んでくねくねしている。何だろうと思って良く見ると潜り込んでいるように見えたが実はヒルが食いついていたのだ。ほんの少し湿った草地の上にいただけなのにビックリ。今まで山歩きは4年しているがヒルに付かれた事は一度も無く、驚きだ。降り落としてさっさと空き地を離れ富士見山荘に向かう。

捨て犬?

 富士見山荘から左手に入り登山口に着くと9時丁度だ。塔ノ岳まで行く時間が無いかもしれないが取り合えず行けるところまで行こう。まずは二ノ塔を目指す。昨日雨が降ったため登山道は滑りやすい。転ばぬように気をつけながら急坂を登る。私より少し年配のおじさん(以後aさん)が丁度良いペースで歩いているので少し距離を開けて後ろを歩く。暫く歩くとaさんが休んだので挨拶をして私は先に進む。この道は両側から笹が覆いかぶさるようなところもあり、暫くは見通しの悪い道を進む。後ろからハァハァと動物の息遣いが聞こえてきて何だと思って振り返ると黒い犬と茶の犬が歩いてくる。首輪は着けているが随分痩せていて捨てられたのだろうか?私は犬は好きではないがやはり可愛そうだ。すぐにその犬達は私を追い抜いて先へ進む。しかし段差の大きいところでは躊躇して藪の中に入って見えなくなりすぐまた登山道に現れる。何回かその犬達と前後しながら進むがその内見えなくなる。

塔ノ岳は雲の中

 やっと視界が開けると二ノ塔に到着する。山頂の標識には誰かがいたずらしたのか「二ノ塔」の文字に一本横線が入り「三ノ塔」になっている。地図を持たず初めて来た人は誤解するだろう。今日は天気も良いから大勢休憩している。少し休んでいると先ほどのaさんがやってきて休憩もせず先へ進む。水分を補給して私も三ノ塔へ向かう。少し下って歩きやすい道を進んでいくと今度は少し登って三ノ塔に到着する。ここまで来ると表丹沢の稜線が良く見える。しかし残念ながら塔ノ岳の方は雲が掛かっている。この分だと塔ノ岳からは富士山は見えないかもしれない。まぁ雨になる心配は無さそうだから良しとしよう。

慎重に

 二ノ塔で休んだからここでは殆ど休まず先へ進む。ここからは急な下りとなる。左下の方に烏尾山小屋の黒い屋根を見ながら転ばないように下っていく。慎重に下って行き歩きやすい道になるとほっとする。やがてまた登りとなり烏尾山に到着する。早くもお腹が空いてきたので予備に持ってきたカロリーメイトを一つ食べる。ここのテーブルでも結構大勢休んでいる。早くもお昼ご飯(朝ご飯?)を食べている人たちもいる。トイレに寄り少し休憩してまた歩き出す。行者ヶ岳を過ぎ鎖場を慎重に降りる。最初にここに来たときは結構怖い思いをしたものだが、今では何とも無い。しかし気の緩みが事故に繋がるだろうから慎重に越したことは無い。少し進むと痩せ尾根に出る。ここの崩壊は以前来たときより更に進み、ロープも厳重になっている。ここも気を抜かずに進むと書策小屋に到着する。

富士山は?

 またもや少しお腹が空いたのでカロリーメイトを一つ食べる。いつの間に抜いたのか後からaさんがやって来る。まだ時間もありそうだから塔ノ岳まで行くことにしよう。さすがに足が疲れてきて少しの登りでも堪えるようになってくる。まだ紅葉の時期には早いが所々赤いもみじも見える。足元にはアザミや竜胆が所々咲いている。木ノ又大日を過ぎ最後の急登を進む。息が苦しくなってくるが、一歩一歩進む。壊れた山小屋が見えてくるとやっと塔ノ岳山頂に到着する。

 やはり大勢の人が休んでいる。それでも夏場より人は少なく十分座れる場所はある。気がかりだった天気は持っているが富士山は頭だけ見える程度だ。雲の流れが速く見る間に見え隠れする。丁度雲が途切れたタンミングで近くの人に写真を撮ってもらう。

寒い

 テーブルに荷物を広げご飯にする。今日は冷凍の長崎チャンポンだ。鍋にお湯を沸かしている間に持ってきたビールを飲む。旨い。もうこの時期は凍らせてきてないが十分だ。風が強く体が冷えてくる。手も冷たくなってきて軍手をする。お湯が沸き解凍されたラーメンと家から刻んで持ってきた野菜を入れ煮込む。沸騰すると一人用の小さな鍋だからぐつぐつと溢れそうになる。火を弱めて煮込むが野菜に中々火が通らない。火力や鍋の大きさを考えて小さく刻んでくるべきだった。ラーメンが伸びないうちに火を止め食べ始める。旨い。流れ行く雲と富士山を見ながら熱々のラーメンを食べる。食後には持ってきたリンゴを剥いて食べる。とたんに体が冷えてくる。ジャケットを着ていても風が冷たく山では確実に冬が近付いてきているのを実感する。

横着

 夕方の用事があるから食べ終わるとすぐに帰ることにする。ここまではストックを使わなかったが、下りは膝を痛めるからダブルストックを使う。じっと座っていたから膝に力が入らないので慎重に下っていく。おや?道が違うような?間違えた。大倉尾根に向かっていた。すぐ引き返し表尾根へ向かう。歩くとビールが廻ってきてほろ酔い気分だ。しかしぼんやりしていて転ばないように気をつけねば。烏尾山に向かう途中で休んでいるとaさんが追い抜いていく。休憩のタイミングが違うから抜いたり抜かれたりだが大体同じくらいのペースだ。また途中でaさんが休んでいて今度は私が抜き返す。行者ヶ岳の手前の鎖場ではストックが少し煩わしい。一度畳んでザックに付ければいいのだが面倒でそのままストックと鎖を持つ。

やっと三ノ塔

 無事登りまた下っていくと烏尾山に到着する。この先三ノ塔まではまた結構登る事になるからここで一休みする。ベンチが空いているからベンチの上で大の字に寝そべる。空が青く流れる雲を見ながらしばしボーットする。ここまで降りてくるともう寒くも無い。一休みして歩き出す。三ノ塔の方からパラグライダーに乗った人がかなり近くまで来て手を振ってくれるから私も手を振り返す。その人はまた向きを変え風に乗って離れていく。見ているととても楽しそうだ。さて、また三ノ塔に向かって歩き出す。ここの登りは疲れた体にはかなり堪える。ゆっくり慎重に登っていく。先に歩いている人がいるから励みになる。やっと急登を終わり歩きやすい道になると三ノ塔へ到着する。

何とは無く

 朝見かけた犬が二匹いてハイカーに餌をねだっている。しかしむやみに餌を与えるのは良くないのを皆知っているから誰も餌をあげない。可愛そうだが仕方ない。飼い始めた以上、死ぬまで面倒を見てあげなければ。ここでもまた休憩しているとまたaさんが追い付いてきて休憩もせずに抜いていく。少ししてから私も下り始める。ここからはもう下るだけだ。しかし林や藪で視界が悪くなるから余りこの道は好きではない。すぐに二ノ塔に着き、更に下る。ここからが随分長く感じられる。先行していたaさんが見えてくるがその前を歩いていた子供づれが道を譲るとまた離される。下りは早いようだ。暫くaさんから離れたまま降りていくとやがて登山口に到着する。今日はaさんとは挨拶しかしなかったが、何となく抜きつ抜かれつしながら同じ位のペースでお互いに無口なタイプだが何か気心が知れたような気がした。

後はビール

 登山口で暫く休んでから舗装路をゆっくり降りはじめる。富士見山荘に寄りコーヒーを頼む。主人の顔が見えないが常連と女将さんとの会話でバイクの事故で怪我をしたと知る。暫くしてきたコーヒーは主人が淹れてくれるコーヒーより心なしか薄く淹れるのに慣れていないようだ。奥の席に腰掛け壁に背を付けゆっくりコーヒーを飲んでいると今日一日歩いた心地よい疲れが回ってくる。ビールでも飲みたいところだが家に帰るまで我慢だ。帰ったら熱いシャワーを浴び良く冷えたビールを飲もう。


山行データ
山行日: 2003/10/19 晴れ
山: 丹沢 塔ノ岳(1,491m)
コース&時間: 富士見山荘(9:00)二ノ塔(9:50)三ノ塔(10:05)烏尾山(10:25)書策小屋(11:10)塔ノ岳(11:50,12:35)烏尾山(13:50)二ノ塔(14:30)富士見山荘(15:10) 歩行数 25,700歩
同行者: なし
参考ガイドブック: 富士山の見える山60選
温泉: なし
写真: 塔ノ岳の写真


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